このページでは現在遮二無二頑張っている受験生に少しでも役に立てればと思い、私が司法書士試験を合格するまでの道のりを記します。

 

この試験を受けようと思ったのは平成17年の初め頃でした。

 

当時私は司法書士とは無縁のとある会社で仕事をしていました。しかし、将来を見据えたときに様々な不安があり、いつも現状に満足できずにいました。

年齢は当時28歳。結局司法書士試験にチャレンジしようと思うに至ったのですが、難しい試験を突破できたら人生の選択肢も増えるかなぁと思ったくらいの単純な気持ちでした。

それからとりあえず試験の本を買って読んでみようと思い、近くの本屋でデュープロセスを何気なく購入して少しづつ読んでいました。最初は専門的な用語が並び頭に残るものはほとんどなく、次の日には知恵熱が出て勉強を休むという繰り返しでした。(今考えればこのときが一番挫折しそうだったかもしれません。)

 

しかし、徐々に勉強の面白さにはまりはじめ、平成17年の秋にはその時の仕事を辞めて、平成18年の試験で一発合格するつもりで勉強に専念することにしました。もちろん収入は0になりますのでそれまで少しづ貯めていた預金が何もしないでも減っていきます。

 

完全に覚悟を決めた瞬間です。

 

しかしその思いもむなしく最初の受験は午前午後ともに足きりで散ってしまいます。

それから間もなく受験に夢中になっていた我が現実に戻った時、自分の経済状態がいよいよ崖っぷちであることに気がつきました。いや、かなり前から気か付いていたのですが、試験をしているときは忘れることができていたのです。

 

試験は諦めるつもりは全くないが、まずは食べていかなければ試験も何もありません。私は悩んだ挙句結局就職をすることになります。勉強を計画的に進めるため残業のないところに就職したいというのが一番でしたので24時間交代制のとある工場に就職しました。運よく正社員で雇っていただけました。この選択は今でも正解だったと思います。これを読んでくださっている受験生の皆様は専業で受験をされている方も多いと思いますが私の場合はおそらく専業受験生でいたら未だに受かっていなかったと思います。理由はいくつかありますが、大きなものとしては勉強に専念しすぎると、ある許容量を超えるといくら頭に入れても残っていかない、もしくは前に覚えたものが忘れやすくなる。ということです。それゆえ私は仕事を気分転換の一種と考えていました。この考えは非常に効果をもたらし、勉強に無駄な時間がなくなり、仕事場においても気分転換だという意識でしたので通常仕事でたまるはずのストレスがそれほどありませんでした。

 

それから平成19年の試験まで必死に勉強をすることになります。ここで私の勉強方法を少しご紹介します。

 

日々の仕事は24時間の3交代制で、7時から15時まで、15時から23時まで、23時から翌朝7時までという流れで休日は同じ勤務を3日行った後に一日休みという感じです。その休み明けに別のシフトに移動。

まず仕事がある日はどの勤務でもまず自宅に帰ってから食事をして睡眠に入ります。勤務の約5,6時間前に起きて勉強を始めます。平均的な勉強時間は4時間ほどです。脳が疲れたところでリフレッシュに仕事に行きます。休日の日は一切勉強をせず体力と脳を休めることに専念しました。仕事もリフレッシュといえども体力のいる業務でしたので休日は一生懸命休みます。

この流れで平成19年の試験3か月前まで行います。3か月前になると起きる時間を2時間早め勉強にあてました。休日はやはり体力と脳の回復に努めていました。

 

いざ平成19年の試験を迎え、そして終えました。結果は午後択一のあしきり。

 

しかし結果を一つ一つ見たときに知識が足りないということは感じませんでした。つまり知識の量はこれまでの勉強で得ており、勉強方法も間違っていなかったと確信しました。あとは知識の定着。いつでも瞬間的に記憶を引き出せる程の知識の定着です。

 

以上を目標に設定し日々の勉強をします。勉強時間等は前年と全く同じです。ひとつだけ変わったことをしたものがありました。直前期に通信で模試を4回受けました。過去問を解くだけでは本番を想定できていないからです。この模試の効果は非常に大きかったと思います。この模試4回の挑戦は本試験を4回挑戦したものと思っており、4年分の経験を積んだものと思っています。

 

迎える3回目の受験。

 

午前の間違いを引きずったまま迎えた午後の試験。見たことのない記述式。分量。襲ってくる煙草のニコチン切れ(現在は煙草はやめています)。

不動産択一 → 不動産記述 → 商業択一 → 商業記述 → その他という流れで解いていたのですが不動産の記述が終わった時には残り1時間強程で絶望が頭の中を支配していました。

もう落ちていてもしょうがない。といあえず全力でやろう。全力で試験を終えよう。そう思い残り一時間をやりきりました。

私は趣味で卓球をやっているのですが、ごく稀に信じられない程自分の力以上のものが出て試合に勝つことがあります。それを卓球ではゾーンに入ると言ったりしますが、今思いえばこの時もやりきろうと覚悟を決めたときからゾーンに入ったものと思います。終わった後の疲れは半端なものではありませんでしたが。

 

合格発表の日。

 

私は当然落ちてしまったと思っており、来年に向け自分にさらにプレッシャーをかける意味で合格発表を直に法務局に見に行くことにしました。

あった・・・

うそ・・・

いやいや去年のじゃないの・・・

ミスプリント?・・・

いやある!!

まぎれもなく私の番号がある!

今まで生きてきた中でこれほど嬉しいことはありません。

達成感!

 

最後は私の気持ちばかりを書くことになって申し訳ありません。しかしこれほどの達成感はそれまでもなかったし、今現在もありません。これから先もあれほどの達成感を味わうことはできるのだろうかと心配になるくらいです。

 

さて、上記が私が合格するまでの道のりでした。
私には学歴もなく、学生時代にしっかりと勉強したことや、よい成績をとった記憶もありません。そんな私が予備校に通っていたわけでもなく、あまり恵まれているとはいえない受験生活の中で合格できたのはなぜでしょうか。もちろん運も良かったと思いますが、やはり自分を信じぬき最後まで走りきったことです。周りが何を言っても気にしないでください。心無いことを言う人もいるでしょう。そのほとんどの人が(おそらく全員が)司法書士試験すら受けたことのない人たちばかりです。試験を受けたことのない人たちにどんなことを言われても気にすることはありません。
合格した人たちにそれぞれに勉強方法が存在しますので、受験生の皆さんは己の確立した勉強方法を見つけてください。参考になるかはわかりませんが私が使用したテキスト等を紹介いたします。

1.デュープロセス

2.直前チェック

3.Wセミナーの過去問(択一・記述)

4.不動産登記・商業登記ブリッジ(理論編・実践編)

5.過去問分析ノートⅠⅡ

6.模範六法

 

他にも少しありますがほとんど使わず眠っていました。

上記のとおり模試を通信で4回受けましたが、経済的な理由で予備校には行っていません。

以上の中で一番使った本は直前チェックです。私にとってこの本なくして合格はあり得ませんでした。とにかくこの本を読み込みます。文間も読み込みます。読んで読んで読みまくります。そうするとこの直前チェックの分量で十分合格することは可能であると思うに至りました。
おそらく受験生の中には様々な本を買い、到底受験では問われることのないであろう部分まで勉強している人がいると思いますが、その時間があるのであれば通常試験で出るはずの知識を定着させることです。直前チェック程の分量でも本当の意味で知識を定着させるのには非常に時間がかかるものです。この知識が間違いなく筆者よりも理解しているというのでしたら他の教材に目を向けてもいいかと思いますが・・・。ちなみに私は今だに実務をしていてどうだったかなぁと思う案件が出てきたら真っ先に直前チェックを使うこともあります。生まれてから今まで一番目を通している本なので調べやすいのです。

過去問分析ノートは試験の出題形式や頻度などを分析するために読みました。本試験対策をするというのは非常に重要なことです。

もちろん六法もしっかりと読み込みます。

記述式の対策としては特別な勉強をしたことはありません。ブリッジを読んだり過去問を解いたり。結局択一の延長なので択一の知識が定着していれば、イレギュラーな問題が出ても基準点は取れるはずです。満点を目指す勉強はすべきではないと思います。私の試験結果としてはかなりぎりぎりの点数での合格でした。

結局のところ自分にあった教材に出会いそれを信じて、自分自身も信じて後はひたすら走りきることです。迷いが生じると自然とブレーキがかかります。この教材はすばらしいと思い込むことも必要です。
以上簡単に書きましたが、自分自身必ず受かると思い込んで勉強してください。

 

それでは、ブレないようにすばらしい受験生活をおくってください。

 

 

平成20年度合格

司法書士 木下康裕

 

 

 

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